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「ゆら」シリーズでは、1枚のステンレス板を境界として設定し、人が生きること、そこに存在することと、それと対峙する他者、社会との関係に注目し、板のそれぞれの面に対するシンプルな行為を通して、そのあり様を明らかにしていく。一方からは熱を加え、金槌でたたき続けることで板を変形させ、かたちと奥行きを生み出し、もう一方の面では鏡面に磨き込むことで影を消し、形態としてではなく歪んだひとつの世界として映し出す。また、熱が加えられることによって酸化したステンレスはゆっくりと変色し、鏡面の使用は恒久的に変化しづらい特徴を持ち、そこに体積していく時間と「今」を映し続けることで流れていく時間をそれぞれ可視化していく。物質を通して行為は可視化され、現実として存在する。対峙することで見えてくる境界やそこにある時間、関係性から、生きること、存在することの本質を見つめていく。

 

ゆら / Yura
ステンレス鋼/2019

Stainless steel/2019​

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