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 それを認識した瞬間に、私の中の世界に「それ」は初めて存在する。しかし、現実にその物質や存在に流れる時間と私の中に存在するものの間に大きな「ズレ」を感じている。
出会った木やその根に金属を巻き付けていくことでその存在をトレースしていく。それは徐々に視界から消えていく。私には見ることのできない向こう側で、制作による熱によって燃え、その存在が変わっていくのを感じる。しかし、その姿を見ることはない。全ての行程が終わった後に、残るものは私の記憶の中にある姿と、そこにあったという事実だけだ。
 自分の中の世界に留めることとそれ自体が生み出す「ズレ」、それは相対する存在が持つ「空白」と言い換えてもいい。制作というフィルターを通すことによって、彫刻として残っていくものとその過程で消えていくもの。存在の在り様について、変わっていくものと変わらないもの、人間とそこに相対する存在との関係、その間にあるものついて模索している。

 

ぼやけていく記憶 -Trace of Existence- / Receding Memory -Trace of Existence-
H91×W550×D125(cm)
/アルミニウム、椿(倒木)/2016

 

ぼやけていく記憶 -016.12- / Receding Memory -016.12-
H45×W18×D18(cm)/アルミニウム、木の根
/2016

 

ぼやけていく記憶 -017.3- / Receding Memory -017.3-
  H25×W40×D15(cm)/アルミニウム、木の根
/2017

ぼやけていく記憶 -017.1- / Receding Memory -017.1-
  H80×W120×D20(cm)/アルミニウム、木の根
/2017

 

ぼやけていく記憶 -017.4- / Receding Memory -017.4-
H91×W550×D125(cm)/アルミニウム、木の根
/2016

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